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発注者向け

クラウドの注意点

今回も発注者向けのお話ですが、クラウドは技術スキルも含まれますので、受注者の皆さんも必見です。

 

以前の記事で紹介しましたが、クラウドはカスタマイズ可能なVPSのようなサービスで、
CPUやメモリ、ハードディスク容量を個別に決めることができる特徴がある点について紹介しました。

著者は億単位のPVを持つ巨大なサイトから、毎日数百万円の決済がされるサイトまで幅広いインフラに携わり、
クラウドもAmazonが提供するAWS、国内サービスではIIJ、さくらのクラウド、GMO、IDCフロンティアなど、
様々なベンダーが提供するサービスの良いところをそれぞれ利用しています。

最近ではクラウドもどんどん低価格になり、月500円でも十分なスペックを持ったクラウドも登場しています。

 

しかしながら、クラウドは仮想環境であり、実際の専用サーバーとは少し性質が異なっています。
専用サーバーのプランにはCPUの型番が明記されていますが、クラウドではよくvCPUという表記がされています。

 

クラウドと専用サーバーは違う

クラウドが登場する以前はサーバーを買い、データセンターで運用するハウジングサービスや、
サーバーを専用で借りて運用する専用サーバーが一般的でした。

しかし専用サーバーのような高スペックではサーバーの性能を持て余すことも多く、
余った領域を複数のユーザーでシェアし、必要な部分だけを共有するのがVPSやクラウドと言った考え方で、
クラウドは複数のユーザーで共有しており、他の利用者により性能が低下したりすることが実際に発生する点です。

vCPU=コア数ではない

ここでは国内のとある企業が提供するクラウドサービスに注目してみましょう。
料金プランから仕様を見てみますと仮想CPUが24個、ソケットが1個と記載がされています。
この情報から24コアのサーバーと思ってしまったあなたは要注意です。

実際に著者が借りてみたところ、E5-2680 v3というCPUが確認できました。
確かに24個にCPUが見えますが、このCPUは1ソケットの場合12コアを持っており24コアではありません。

このCPUはIntelという会社が提供するサーバー向けCPUで、
ハイパースレッディングテクノロジーという技術により、
CPUを仮想的に24個に見せかけているだけで、24コアのCPUではありません。

つまりvCPUとはリソースが保証されない仮想CPUであり、実性能とイコールではありません。

思ったように性能が出ない場合にはハイパースレッディングを疑ってみる

このハイパースレッディング技術はかなり曲者で、専用サーバーでも気をつけなければいけません。

ここではあるお客様の例として月数百万PVもあるサイト様を例に挙げたいと思います。

ピーク時の時間帯では、サイトに繋がりにくくなる症状が起きるけど、
サーバーを入れ替えて余力はあるはずで原因を探ってほしいとの依頼を受けました。

このCPUはXeon E5-2680 v4と、まだ導入されてから真新しく、
確かに管理画面ではピーク時に50%しか使っていないのがはっきり確認できました。

ただ、CPUが56個と異常に多いのが少し気になりました。

 

そう、これはハイパースレッディング技術により28コアを搭載したサーバーだったのです。

 

お客様の了承を得て、深夜にメンテを行い、ハイパースレッディングを無効にして再起動したところ、
翌日のお昼に見事CPUは100%になったというわけです。

 

全ての発注者が技術寄りの人間ではなく、むしろインフラに長けた技術者を抱える会社は少数です。

ハイパースレッディング技術は昔のCPUではよく導入されていましたが、
今ではゲーミングPCでしかこの技術は搭載されておらず、ハイパースレッディング技術を知らない人も多いのが実情です。

もし性能が出ないと思った時、その数字は50%前後で止まっていないかどうか見てみてください。
もしそうだとすれば、それはハイパースレッディングによる仮想化されたCPUが原因の可能性があります。

 

クラウドが使えるのはどういうところか?

ここまで読まれた方はクラウドがひどく悪いサービスに聞こえたかもしれません。

しかしながら、クラウドはうまく使えばとても便利なサービスです。

例えば「業務時間中」にしか使わない社内サーバーをクラウドにしたらどうでしょうか?

 

機器を買えば資産扱いとなりますが、クラウドサービスの場合は経費として計上することができます。
24時間動かす必要がなければ時間単位での課金となるクラウドの方がフル稼働させるよりも費用を圧縮できます。

 

ウェブサイトでは負荷が高い時間のみ、サーバー台数を増やして運用したり、
システム系のサービスではバッチ処理だけのために契約するなど、柔軟な対応ができるのがクラウドの強みです。

それぞれ長所・短所がありますので、クラウドという言葉に踊らされないように気をつけましょう。